青草を土の中にすき込むことによって作物の生育に欠かせない養分を供給する、文字通り緑の肥料です。
 昔はどこの農家でも馬や牛を飼っていて、糞から作った堆肥を畑にまいていました。化学肥料が手に入るようになった現在でも土を軟らかくしたり、肥料をゆっくり効かせたり、病害虫の発生を抑えたりと堆肥の重要な役割は変わりません。
 ところが、最近は畜産農家と畑作農家の分業化が進み、牛や馬がいない農家が増えてきました。畑作農家は畜産農家から堆肥を買ったり麦わらと交換したりと、堆肥を確保するために非常に苦労しています。苦労している割には畑にまかれる堆肥の量は減ってきているのが現状です。そのため、土は硬くなり、水はけが悪くなるなど作物の生育にとって悪い条件ばかりが揃ってしまいました。
 そこで見直されてきたのが馬や牛がいなくても畑に堆肥をまいたのと同じ効果が期待できる緑肥の栽培です。
この3万坪迷路に生えているとうもろこしは全部で70万本!重さは500t以上、成人男性約7000人分もあります。
 この大量のとうもろこしは迷路が終わったらどうなるのでしょう?
 このとうもろこしは、おいしい焼きトウキビとして屋台で売られるスイートコーンとは違います。秋まで栽培して牛のエサになるデントコーンという品種です。
 しかし、このデントコーンは迷路が終わったら牛のエサにはならず、土の中にすき込まれてしまうのです。
 そうです!これが緑肥なのです。緑肥作物として栽培される物には、このデントコーン(イネ科)の他に馬のエサにもなるエン麦(イネ科)、甘い花の蜜がとれる赤クローバー(マメ科)、黄色いじゅうたんのようなキカラシ(アブラナ科)などほかにもたくさんの種類があり、それぞれの特徴にあった栽培がされています。
 ちなみに本別町では毎年、畑作面積の8%にあたる500ha以上の緑肥が栽培されています。(迷路50個分)

エン麦のすき込み風景
1.土を団粒構造にする
空気や水の通りをよくして、軟らかな土を作る
有機物が土の粒子をくっつけることによってすきまができる

団粒構造
2.作物に必要な養分を供給する
化学肥料を減らせる
緑肥の肥料効果
3.土の中の微生物を増やし、
土壌病害を減らす

緑肥が微生物の食べ物となり、
特定の病原菌の繁殖を抑える

4.連作障害(いや地現象=同じ作物を続けて
栽培すると生育が悪くなること)
をなくす
小麦、豆、いも、てん菜等の畑作物と
違う種類の作物を作ることによって輪作体系が組める
代表的な輪作体系
(3〜4年でひと回り、サイクルは長い程良い)
5.土壌保全及び環境美化
地表をしっかり覆うことにより表土の流亡を防ぐ
キカラシなど花を見て楽しめる

キカラシ栽培風景
 化学肥料は運搬しやすく作物に必要な養分を自由にコントロールできるといったメリットがあります。それに比べ緑肥の肥料成分はそれほど多くないのでそれだけで作物を育てるためには大量にすき込む必要があります。
また、種をまいてからすき込までおよそ2〜3ヶ月の生育期間が必要であり、その間は農作物の栽培が出来ません。
 しかし、化学肥料は土壌の酸性化を進めたり土を硬くしたりというデメリットもあり、このことが本来作物が必要とする健康な土づくりの妨げになっているのも事実です。
 農業経営はこのようなメリット、デメリットのバランスの上に成り立っており、緑肥と化学肥料の良い点をうまく利用することによって、そこから生産される農作物はより美味しく、安全でかつ安く供給できると考えています。私たちは緑肥だけでなく農業に関わるすべてについて、より良い物をより安く提供できるよう日々考えています。
 消費者の皆さん(私たちも消費者です)も、農業の良いところ、悪いところをよーく考え、見極めて、どうしたら美味しく安全な食べ物が安く食べられるか、考えてみませんか?